歯周病の治療がひと段落して、「やっと終わった」とホッとされている方へ。
実は、その「終わり」こそが本当のスタートです。歯周病は、治療を終えたあとの過ごし方しだいで、再び進行することもあれば、健康な状態を長く保つこともできる病気だからです。
この記事では、「歯周病は治るのか」という素朴な疑問に正直にお答えしたうえで、進行度ごとの治療の考え方と、再発させないための習慣をお伝えします。

「歯周病は治りますか?」への正直なお答え
結論から申し上げると、進行の段階によって答えが変わります。
歯肉炎の段階なら、健康な歯ぐきに戻ります
歯ぐきが赤く腫れたり、歯みがきのときに出血したりする「歯肉炎」は、まだ歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていない段階です。
ここであれば、正しいケアで炎症はおさまり、健康な歯ぐきへと戻すことができます。
歯周炎は「完治」ではなく「進行を止めて、保つ」のがゴール
一方で、炎症が進んで骨が溶け始めた「歯周炎」になると、いったん溶けてしまった骨は基本的には元どおりにはなりません。
「では治らないのか」とがっかりされたかもしれませんが、ここが大切なところです。
安定した状態を長く保つことは十分に可能です。
むし歯のように「削って詰めて終わり」という病気ではなく、糖尿病などと同じく、上手に付き合いながらコントロールしていく病気だとお考えください。
つまり、歯周病における「治った」とは、痛みや腫れが消えた状態ではなく、悪化が止まり、その良い状態を維持できている状態を指します。だからこそ、治療後の習慣がそのまま将来の歯の運命を左右するのです。
進行度別に見る、治療の考え方
ご自身がどの段階だったかを振り返りながら読んでみてください。

歯肉炎
炎症が歯ぐきにとどまっている段階
赤み・腫れ・歯みがき時の出血が主なサインです。生活に支障が出るほどの痛みはほとんどなく、「そのうち治るだろう」と見過ごされがちな段階でもあります。
治療の中心は、毎日の正しい歯みがきと、歯科でのクリーニングによる歯垢・歯石の除去です。原因となる細菌の量を減らすことで、炎症は落ち着いていきます。

軽度〜中等度の歯周炎
骨が溶け始めた段階
歯ぐきが下がってきた、歯と歯のすき間が広がった、口臭が気になる、といった変化が現れます。歯と歯ぐきの境目には「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができ、その奥に歯石や細菌がたまっていきます。
歯ブラシだけでは届かないこの部分の汚れや歯石を、歯科で専用の器具を使って取り除いていきます。ご自身のセルフケアと、歯科での処置。この両輪で進行を食い止めるのがこの段階の目標です。

重度の歯周炎
歯がぐらつき始めた段階
骨が大きく失われ、歯が動く・噛むと痛む・歯ぐきから膿が出る、といった症状が出ます。ここまで来ると、歯を残すために踏み込んだ処置が必要になることもあります。
ただ、重度であっても「すぐに抜く」ことが正解とは限りません。残せる可能性があるなら、まずはその道を探る。そうした姿勢で、一本一本を丁寧に見極めていきます。
なぜ、治療が終わっても再発するのか
歯周病の再発でいちばん多いのは、「治療が終わった=もう大丈夫」と気持ちがゆるみ、セルフケアと通院が止まってしまうケースです。
歯周病の原因菌は、歯垢(プラーク)の中で日々増え続けます。お口の中の細菌に対して、私たちの体は免疫の力で戦っています。免疫の力よりも細菌の勢いが上回ったとき、炎症がぶり返し、ふたたび進行が始まってしまうのです。
裏を返せば、再発を防ぐカギは「細菌を増やさないこと」と「体の免疫を整えること」、この2つに尽きます。
再発させないための、3つの習慣

毎日のセルフケア
すべての土台は「自分の努力」
どんなに優れた歯科治療を受けても、毎日のご自身の歯みがきなしに歯の健康を保つことはできません。再発防止の主役は、歯科医師ではなく患者さんご自身です。
最初は出血しやすい方も、やわらかい歯ブラシで根気よく続けるうちに、炎症が落ち着き、出血も減っていきます。歯と歯ぐきの境目を意識した、ていねいなブラッシングを毎日の習慣にしてください。

生活習慣を整えて、免疫力を味方につける
歯ぐきの健康は、体全体の状態を映す鏡です。食事・運動・睡眠が整うと免疫がしっかり働き、歯ぐきにも良い影響を与えます。
とくに糖分のとりすぎは細菌の増殖を助けます。バランスのよい食事、適度な運動、しっかりとした睡眠。遠回りに見えて、これが歯ぐきを守るいちばんの近道です。

定期的なメンテナンスで「小さな変化」を見逃さない
歯周病は、自覚症状が少ないまま静かに進む病気です。だからこそ、ご自身では気づけない歯ぐきや歯周ポケットの変化を、定期検診で早めにつかまえることが欠かせません。
定期検診では、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さ、お口の清掃状態を確認し、ご自宅では落としきれない汚れや歯石を取り除きます。何か起きてから慌てて駆け込むのではなく、良い状態を保つために通う。 これが再発を遠ざける、いちばん確実な方法です。
当院は、あなたと「二人三脚」で歯ぐきを守ります
私たちは、歯周病を歯ぐきだけの問題とは考えていません。
歯ぐき・歯を支える組織・血液(免疫)という視点から、体の自然な仕組みを大切にした治療と予防を行っています。
歯科医師の役割は、必要以上に手を加えることではなく、あなたの歯ぐきの変化をていねいに見守り、正しいセルフケアと生活習慣をお伝えしていくことだと考えています。
「治療は終わったけれど、このケアで合っているのか不安」
「最近また出血が気になる」
そんなときは、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。
あなたの努力に、私たちが専門家として伴走します。一緒に、長く健康な歯ぐきを守っていきましょう。

口元の健康のため定期的なメンテナンスをご希望の方へ
痛くなる前に、しみる前に、ぐらつく前に。
そんなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
上尾市の三井歯科医院では、患者さん一人ひとりに寄り添った歯周病治療・クリーニングケアを行っています。
